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第14話 エル・ノイア神殿

ผู้เขียน: O.T.I
last update วันที่เผยแพร่: 2026-06-11 20:58:20

職人街をあとにしたエステルたち。特に目的地を定めずに散策する二人が次にやって来たのは……

「わぁ〜……大きな建物だねぇ……」

「女神エル・ノイア様の神殿だな。ここは有名だから俺でも知ってるぞ」

エル・ノイア神は、この国の初代国王に祝福を与えたとされ、国の名前の由来ともなった女神だ。王都にある神殿を総本山として、王国各地に神殿が作られている。

いま二人の目の前にある神殿は、建物が密集する王都の中にあって、非常に広大な敷地を有する。敷地の外周部は木々が植えられていて、公園のような憩いの場所となっていた。

そして、小高い築山の上に建てられた神殿は光り輝くような純白で、神秘的な佇まい。その大きさも相当なもので、二人はまだ見ていないが王都の中では王城に次ぐ大きさを誇る。

「そっか……ここにお母さんがいたんだ……」

エステルの母エドナは、幼少期に女神の加護を持っていることが分かり、幼い頃から聖女として神殿で暮らしていたという。エステルがその時の話を聞いてもはぐらかされて、詳しいことは何も知らないのだが……

「……見ていくか?」

 クレイは彼女の心情を察して提案した。

「うん。お母さんがどんな場所で暮らしてたのか、見てみたい」

「よしきた。ようやく観光らしくなってきたな」

そうして二人は、他の参拝客らしき人々に混じって神殿に至る参道を進んでいく。築山の麓まで来ると、神殿の入口に至る長大な石段が伸びていた。

「ここを登り降りしたら良い鍛錬になりそうだね」

「……もっと他の感想はないのか。しかし、確かにこれを登るのはホネだなぁ……足腰弱い年寄は大変なんじゃないか?」

石段は100段以上はあるだろうか?クレイの言う通り、ここを登るとなるとお年寄りにはかなりキツいだろう。

「あ、大丈夫みたいだよ、ホラ!」

そう言ってエステルが指さした先には……神官らしき人物が、老婆を背負って階段を登ろうとしているところだった。他にもそのような神官が手助けをするために待機している様子。

「ほう、なるほど。流石は慈愛の女神様の神殿ってことか」

「だね!じゃあ私達も登ろうか!!」

「あぁ。……って子供じゃないんだから走るなよ!!」

今にも駆け上っていきそうなエステルをクレイは嗜める。流石に彼らくらいの歳で、はしゃいで駆け回るのは恥ずかしすぎた。

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「わぁ……すごいね!!」

 燭台の光が照らす少し薄暗い神殿の中に、エステルの元気な声が反響して響き渡る。

「しーっ!!大きな声を出すなって。響くだろうが」

「あ、ゴメンゴメン。こんなに響くとは思わなかったよ」

エステルは謝りながら奥の方に歩みを進める。

神殿の中には多くの参拝客が訪れ、神殿奥の女神像の前に集まって祈りを捧げていた。エステルの大きな声が響くと一瞬注目が集まったが、それもほんの一瞬の事で、皆すぐに自分達の祈りに集中する。

「俺たちも祈るか……」

「うん。シモン村の作法と同じで良いんだよね?」

二人の村にも女神を祀る祠のようなものがあり、普段はそこで祈りを捧げていた。

周囲の様子を見る限りその作法に大きな違いは無いように思えたので、二人は女神像の近くまで寄っていつも通りの作法で祈りを捧げることにした。

片膝を床に着き、両手を組んで目を閉じ俯きながら、心のなかで聖句を唱え、そして……

(女神さま……どうか立派な騎士になれるよう、見守りください)

聖句に続いて願いの言葉を思い浮かべ、暫くしてから立ち上がって彼女の祈りは終わった。

「終わったか?」

「うん。ちゃんと騎士になれますように……ってお願いしたよ」

「俺も、それにした。じゃあ行くか……」

二人が祈りを捧げ終わってその場を後にしようとした時だった。女神像の傍らに立って参拝者たちを見守っていた、立派な法衣を纏った神官が、驚きの表情を顔に浮かべながら声をかけてきた。

「待ってください!あなたは……エドナ……?」

「えっ!?」

歳は三十代半ばくらい。灰色の髪に緑の瞳。細面に優しげな目をした、柔和そうな男性だった。

「ああ、突然すまない……私はこの神殿で神職を務めるモーゼスと言うのだが……」

「えっと、はじめまして。私はエステルって言います。こっちは幼馴染のクレイ。それで、モーゼスさん……いまエドナって言いました?」

「あ、ああ……いや、知り合いにあまりにも面影が似ていたので、つい声をかけてしまったんだが……」

「エドナは私のお母さんです」

「!!……そうか、君がエドナとジスタルの……」

エステルの言葉に彼は更に大きな驚きをみせ、ジスタルの名をも口にする。どうやらこの人物はエステルの両親の知り合いのようだ。

エステルは自分達が王都にやって来た経緯を彼に説明する。

そして、気になっていたことを質問した。

「モーゼスさんは……お父さんとお母さんのお知り合いの方ですか?」

「そうだよ。……彼らから神殿の事について何か話は聞いてるかい?」

「いえ……神殿に限らず、王都にいたときの事は殆ど話してくれないんです。……モーゼスさん、話を聞かせてもらえませんか?」

思いがけない出合いに、エステルは意気込んで両親の事を聞こうとしたが。

「……いや、彼らが話していないのであれば、私から話すことは出来ない。すまないね……」

「そう……ですか」

モーゼスの否定の言葉に、エステルはがっかりした様子を見せる。

エステルはずっと気になっていた。尊敬する父と母が何故王都から出ていかなければならなかったのか、その理由を。

エステルが王都に行きたいと思った理由は、もちろんデニスの誘いを受けて騎士になりたいというのが大きな動機だったのだが、両親のことを知りたいというのも、理由の一つであった。

「すまないね……。代わりと言っては何だが、何か王都での暮しで困ったことがあったら何でも相談してくれ。私にできることがあれば力になろうじゃないか」

エステルに話が出来ないことを後ろめたく思ったのか、彼はそう言う。

「……はい、ありがとうございます!」

モーゼスの優しい言葉にエステルは気を取り直して感謝の言葉を返し、それから彼に別れを告げて二人は神殿を後にするのだった。

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